2646 グローバルX メタルビジネス-日本株式 ETF【グローバルX】

グローバルX社が2021年9月28日に新たなETFを3本同時に東証新規設定することがわかりました。

3本目は金属関連事業に投資するETFです。ハイテク時代になぜ50~60年前の金属?と思われるかもしれませんが、実は環境に配慮した電気自動車・クリーンエネルギーでは従来よりも非常に多くの鉄以外の金属を使用するため、普及が進めば比例するように金属の需要が増えます。金属はこれからの時代に益々必要となるビジネスです。

今回は、同時上場のうち第3弾となる2646 グローバルX メタルビジネス-日本株式 ETFについてご紹介いたします

2646 グローバルX メタルビジネス-日本株式 ETF

金属鉱業や金属製造に関連したビジネスを行う日本企業で構成される「FactSet Japan Metal Business Index」指数への投資を目指す、東証に上場するETFです。

投資対象は下記の通りです。

  1. 収益の大半をメタル関連ビジネス(金属鉱業、金属製品、金属貿易)から上げている30銘柄で構成
  2. 原則として年2回、指数構成銘柄および構成比率の見直しを行う

鉄鋼株は世界景気回復、鉄鋼市況上昇の恩恵を受けて、2020年後半から急激に利益が拡大しました。ただ、日本製鉄は呉工場を閉鎖する予定があり、鉄鋼業界を見ても、世界景気が急回復したこと、鉄鋼業で過剰能力を有する中国が生産を抑えていることもあり一時的な上昇と見る向きが多いです。

そんななか、なぜメタル(金属)への投資なのか?ESG特に環境に配慮する投資傾向から見たときに間逆なのではないかと思われます。しかし、メタルは世の中の様々なテクノロジーに進歩に伴い需要が期待されるテーマであるからです。

クリーンエネルギー政策というと、電気自動車や風力発電などが思い浮かびます。これらは脱炭素と言う側面で見ると二酸化炭素排出を抑える効果があり注目が集まりますが、実は大量の鉄以外の金属を必要とします。

電気自動車の場合、現在流通しているガソリン車の3倍以上の鉄以外の金属が必要となります。

また、風力発電・太陽光発電でも、従来の火力・水力・原子力発電よりも多くの鉄以外の金属を使用します。

このように環境に配慮するために、鉄以外のメタルが必要なこともあり、環境関連技術に代表されるテクノロジーの進歩に伴い成長が期待できる投資テーマであります。

運営会社 グローバルXとは

グローバルX は2008年創業のETFに特化した運用会社で、ニューヨークを拠点としています。世界の潮流への投資を目的としたテーマ型ETFと、安定した分配金獲得のためのインカム型ETFなどを提供しています。特定のテーマに沿った特化型のETFを多く提供しています。

日本の東証に上場するETFも増えてきています。

基本情報

配当月4月,10月
配当利回り未定
経費率0.649%(税込)

基本情報は上記の通りとなります。年2回配当があるとのことですが、詳細は不明。経費率はグローバルXのテーマ型ETFとしては高め。

構成銘柄

構成銘柄ついては下記の通りとなっております。(2021年9月10日時点。FactSet社のウェブサイトより)

銘柄コード銘柄名構成比率
8058三菱商事10.12%
8053住友商事10.04%
5713住友金属鉱山9.48%
5486日立金属9.43%
5301東海カーボン6.52%
5711三菱マテリアル6.51%
5714DOWAホールディングス5.77%
5406神戸製鋼5.45%
5706三井金属鉱業4.66%
5857アサヒホールディングス3.89%
6966三井ハイテック3.12%
8078阪和興業2.85%
5703日本軽金属ホールディングス2.56%
5741UACJ2.18%
4095日本パーカライジング2.13%
3433トーカロ1.90%
6464ツバキナカシマ1.72%
9810日鉄物産1.68%
6474不二越1.43%
5302日本カーボン1.03%
5727東邦チタニウム0.93%
5310東洋炭素0.93%
5563新日本電工0.79%
6480日本トムソン0.77%
5702大紀アルミニウム工業所0.77%
3036アルコニックス0.72%
1515日鉄鉱業0.72%
5541大平洋金属0.66%
5707東邦亜鉛0.63%
7456松田産業0.61%

構成銘柄は上記30銘柄(2021年9月10日時点)。

三菱商事は、いわずと知れた総合商社ですが素材関連に強みを持ちます。コロナショック後は、素材を扱わない伊藤忠に一事株価を逆転されましたが、その後はほぼ同水準。

鉄鋼を含む素材関連銘柄は長らく低迷していたこともあり、株価が安い銘柄が多いことが特徴です。

そんな中、構成比率は下位ですが注目したいのが、以前もご紹介した杉村銘柄の大紀アルミニウム工業所 。アルミの原材料となるボーキサイトの産出国であるギニアが、情勢不安のため供給制約への懸念が広がったことで、主な生産国である中国での生産が減産に転じるのではないかとの懸念が広がっています。大紀アルミニウム工業所は国内のアルミ缶などのリサイクルによりアルミを生産している会社です。アルミは自動車部品に多く使用されているため、需要が高まっているのですが、トヨタが減産を発表したため、注意が必要です。

メリット

直近は好調

コロナ禍で製造業を中心に大打撃を受けましたが、その後は回復。鉄以外のメタルに注目とありますが、組み入れ銘柄の中でも鉄鋼が好調だったため、直近のパフォーマンスは高いです。

年度別の騰落率は下記の通り

年度騰落率
2016年+19.0%
2017年+32.3%
2018年-34.4%
2019年+23.5%
2020年+4.2%
2021年+14.8%

クリーンエネルギーの進化に比例した成長が期待できる

前述しましたが、クリーンエネルギー政策における、電気自動車や風力発電・太陽光発電では大量の鉄以外の金属を必要とします。電気自動車や風量発電などのシェアが高くなればなるほど比例して鉄以外の金属需要も増えることとなり、需要の拡大が見込めます。

デメリット

経費率が高い

これはグローバルX社のETF全般に言えることですが、経費率が 0.649%(税込) とETFにしては高め。

出来高は?

東証ETF共通の懸念事項でもありますが、一部のレバレッジ型のETFを除いて、米国ETFや国内個別株に比べると出来高が少ない傾向にあります。

特に他に例の無いニッチなテーマのため、思ったような株価での約定が難しい可能性があります。

まとめ

ESG投資なのにメタル(金属)…?と疑問に思いましたが、環境に配慮したEVやクリーンエネルギーを実現するために大量の金属が必要となるという矛盾。従来よりもコストがかかるため普及するかどうかは微妙ですが、シェアが拡大すれば比例して増える金属需要が益々高まりそうです。

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