高配当株でおなじみ2914 JT 日本たばこ産業の銘柄紹介です。多くのブログにて紹介されていることもあって、ホルダーの方も多いと思います。喫煙率の低下、タバコの値上げ、健康増進法の施行もあってタバコ銘柄に未来はないと考えている方も多いと思います。
アルトリアの銘柄紹介でも述べましたが、私自身は喫煙者ではありません。しかし、タバコはすぐすぐになくなってしまうような産業とは思えません。
今回は、逆風の中データを交えたタバコ産業の今後について考察していきたいと思います。
2914 JT (日本たばこ産業)とは
会社概要
あえてご紹介するまでもないかもしれませんが、wikipediaから引用すると下記になります。
日本たばこ産業株式会社(にほんたばこさんぎょう、英文社名:JAPAN TOBACCO INC.、略称: JT)は、日本たばこ産業株式会社法(JT法)に基づき設置された、たばこ並びに医薬品、食品・飲料を製造・販売する日本の特殊会社。
wikipediaより抜粋
財務省所管。1985年(昭和60年)4月1日に設立され、日本専売公社のタバコ事業を引き継いだ。日経平均株価及びTOPIX Core30の構成銘柄の一つ。
M&Aなどにより、たばこ事業を世界展開しており、企業別の世界シェアは2018年時点で第4位(8.4%)である
いわずと知れた、会社名どおりタバコの製造販売を行っている会社です。
私も知らなかったのですが、実はJTは医薬品や加工食品の販売を行っています。
加工食品のほうは、傘下に冷凍食品のテーブルマークがあり、株主優待の長期保有特典でテーブルマークのパックご飯、カップめん、レトルトカレーなどがもらえます。
2015年までは飲料事業も手がけており、「桃の天然水」などは飲まれたことがある方が多いのではないでしょうか。(2015年にサントリーに譲渡)
株価チャート
いつもとは違って過去5年の株価チャートです。
2006年に上場後、2015年に4,800円近くをつけたあと、ずるずると株価が下落。高配当銘柄であることから、半年に一回の権利落ち日に暴落後、株価を戻せないまま下げ続けている状況です。
コロナショックの影響もあり、2020年7月31日に上場来安値(1,796.5円)をつけました。
業績
【業績】 | 売上高 | 営業利益 | 税前利益 | 利益 | 1株益(円) | 1株配(円) |
◇16.12 | 2,143,287 | 593,329 | 578,237 | 421,695 | 235.5 | 130 |
◇17.12 | 2,139,653 | 561,101 | 538,532 | 392,409 | 219.1 | 140 |
◇18.12 | 2,215,962 | 564,984 | 531,486 | 385,677 | 215.3 | 150 |
◇19.12 | 2,175,626 | 502,355 | 465,232 | 348,190 | 196 | 154 |
◇20.12(会社予想) | 2,070,000 | 464,000 | ※発表無し | 310,000 | 174 | 154 |
過去5年の業績です。売上高、営業利益ともに、横ばいから減少傾向が続いており、2020年12月期も前年割れとなっております。(※2020年10月30日上方修正を発表)
配当については、連続増配は止まったものの配当据え置きを発表。配当利回りは7.8%(2020年10月現在)ただ、営業利益が減少傾向であり、配当性向が高まってきていることから、減配が懸念されています。
優待
優待の権利確定は12月末。100株以上、1年以上保有が条件です。
優待内容名 | 優待獲得株数 | 備考 | |
---|---|---|---|
自社および 自社グループ会社商品 (食品等) | 2,500円相当 | 100株以上 | ※優待品に代えて社会貢献活動(災害復興支援)への寄付選択可 ※100株以上を1年以上継続保有した株主のみに贈呈 |
4,500円相当 | 200株以上 | ||
7,000円相当 | 1,000株以上 | ||
13,500円相当 | 2,000株以上 |
投資 経験談
2019年12月 権利落ち後に株価が急落
ここ数年の傾向を見て、配当金権利落ち後に株価が急落しており、権利落ち日に買えば良いのではないかと考える。
権利落ちでだいぶ下がった、買いだ!
という非常に安易な理由で2,450円で購入。
中東情勢不安、コロナショック、業績不振の三重苦が襲う
もはやこの文章を何回書いたことでしょうか。恒例行事となりつつありますが、年明けすぐ、中東情勢不安で、株価続落…
一時的なものだから株価は戻るんじゃないか…(何回目?)
ここで損切りしておけばよかったのですが、更なる悲劇が…コロナショックで株価急落。ついに2,000円を切り、1,800円台に。
完全に売るタイミングを逃してしまった…(何回目?)
ずるずる下がる株価、配当金が唯一の心の支え
2020年7月31日には、業績悪化により、減配があるのでは?との懸念から上場来安値(1,796.5円)を記録。ただし翌日の決算発表にて配当維持が発表され、2,000円付近でうろうろしています。
今後も権利日に向けて緩やかに株価が上昇しながら、権利落ち日に大きく下げるという流れが続くと思われます。
※2020年10月30にも3Q決算発表(12月決算末のため)があり、前年割れながらも当初発表よりも上方修正となりました。
データで見る 本当にJT タバコに未来にないのか?
ここまでネガティブなデータばかりでしたが、私はそうでもないと感じています。タバコ業界を取り巻く状況について、データを元に考えてみました。
喫煙率の減少
(喫煙者)
タバコに投資するなんてありえない!日本の人口は減っていく一方だし、喫煙率も下がっている。斜陽産業だ!
上記のような意見も多いと思います。タバコの値上げ、健康増進法の施行、健康志向の高まりで日本の喫煙率は減少の一途をたどっています。
上記のグラフを見ると、昭和40年に成人男性の喫煙率は80%を超えていましたが、今では30%を割っています。日本の人口減少も相まって非常に厳しい状況であることは間違いありません。
が、なぜこの状況でJTは2006年に上場したのでしょうか?本当に斜陽産業であるならば、株価は上がらないはずです。
JTの売上比率
ここでJTの売上構成比についてみていきましょう
ん?海外たばこ事業のほうが売上構成比が高い?それに、国内の喫煙率が減ってきているのに、国内の売上が減ってない?
国内の売上が余り劇的に下がっていないのは、タバコの値上げの影響と見ます。
世界の喫煙者動向
JTは国内だけで事業を行っている会社ではありません。ということで、今度は世界の喫煙動向についてみていきます。
世界の喫煙率
上記のグラフはWHOの2020年から2025年の喫煙率の予想データです。発展途上国はもっと喫煙率が高いものかという先入観がありましたがそうでもなく、世界的に緩やかに減少に転じていくものと思われます。
世界人口の推移
いままで喫煙率ばかりに目を取られていましたが、世界の人口は増加し続けています。
`PRIDEが流行っていたころ2005年ごろは60億分の1の男を決めるといっていましたが、いまや80億人に迫る勢いですからね。喫煙率が減っても、人口は増え続ける。するとどうなるか。
世界の喫煙者数
世界の喫煙者数、人口推移からWHOによる今後の喫煙者数の予測を見ていきます。
緩やかに減少してはいくものの、劇的には変わらないことがわかります。男性に限っていえばむしろ増えていくんですよね。
データから見る考察
どうしてもタバコだったり、ギャンブルといった業種は槍玉に挙げられやすいですが、よくよく見てみるとそうでもないことがわかります。攻撃しやすいものに攻撃するという人間の悪い部分なのでしょうか?少なくとも今後5年間で、劇的にタバコの売上が落ちることもなければ上がることもない、比較的安定した業種といえるのではないでしょうか?
日本のお家芸といえる自動車業界のほうが、欧米を中心としたガソリン車の規制強化により厳しい業界ではないかと思うのですが…。
教訓
- 高配当銘柄は注意!(減配リスクあり)
- ただし、偏った報道・情報に惑わされない。
株価は下落していますが、配当が魅力の銘柄です。含み損は出ていますが、配当をもらいながらホールドの予定です。
みなさんも、偏った報道・情報に惑わされず、正しい情報・知識に基づいて判断するようにしましょう。
あくまでも投資は自己判断でお願いします。