「THE FIRST SLAM DUNK」いやぁ素晴らしかった。何十回何百回と読み返した名作が、現代の技術で映像化されるとああいうことになるんですね。一部描かれていないシーン、無音のシーンはありますが勝手に脳内でセリフとコマ割が浮かんでくるので問題ないです。漫画を復習してあと三回くらい見に行きたいところです。
そんな中書店に立ち寄って目にしたのがこの本です。なんだ便乗商法かと思い著者を確認すると「スラムダンク孫子」「スラムダンク武士道」などを書かれた遠越段氏。
安西先生のマネジメント手法に焦点を当てています。思わず衝動買い。
概要
なぜ安西先生は人の能力を引き出すことが出来るのか。
コーチングとは
人が自らを成長させることを愛をもって観察し、認め、支えてあげること。
押し付けではない。上手くなりたいという向上心を換気し、良く観察すること。
最終的には指導する人の人格力を高めること。そのためには指導者の人格力を高めないといけない。
チームを統率する
本来人間は統率されることを好まない。しかし素晴らしく統率されると奮起し納得し陶酔する。
所感
型にはめて上から押し付けるやり方、まねさえしておけばよいという考え方は限界に来ています。
(しつこいくらいに言いますが、私は上記の考えを押し付ける知床遊覧船の経営を指南していた悪徳コンサルタントの小山昇氏が大嫌いです)
スラムダンクが描かれたのは、今から25年以上前。まだパワハラと言う言葉もなかった時代です。今でこそ指導者による暴言暴力が問題視されていますが、当時は軍隊のような組織で指導者・先輩には絶対服従だった時代です。その時代に安西先生という、選手主体の指導を行う指導者は珍しかったのではないでしょうか。
スラムダンクに登場するメンバーは主将のゴリと副将のメガネ君を除くと、主人公の桜木花道をはじめとして一癖も二癖もある問題児軍団です。こんなメンバーのやる気を引き出し、「全国制覇」という目標に向かってチームを一つにしていくのは非常に高度なスキルが要求されます。このメンバーを旧来の軍隊方式でマネジメントしていたら、おそらくドロップアウトしていたことでしょう。
安西先生はそれほど口数が多いほうではないのですが、メンバーそれぞれを良く観察し、モチベーションがあがるような言葉をかけているのが印象的です。
個人的に好きなシーンは、インターハイ出場が決まり、桜木花道が居残り合宿でジャンプシュートの特訓をするシーン。敵チームは短期間でシュートが打てるようになっているとは思わない。それがジャンプシュートを打てるようになったら…「ワクワクしてこないかね。」といった安西先生。既にわくわくしている桜木花道。これが馬鹿みたいに弱点を指摘してシュート練習をしろと言っていたら…。想像もしたくないですよね。
人それぞれ性格は異なる。もう押し付けの時代は終わっています。そのために関わる人の動作を良く観察し、どうやったら動いてもらえるかをしっかりと考えていきましょう。