【眼力】企業価値成長小型株ファンド【好成績投信の中身を拝見】

人気の投信の中身を覗いてみようシリーズです。

前回の厳選ジャパンは利益成長が見込める日本の厳選20銘柄でしたが、一部の証券会社でしか取り扱いが無いことがネックでした。同じ運用会社で成績がよさそうなファンドをさがしていたところ、運用コンセプトは違うものの直近成績のよいファンドがありました。

今回はアセットマネジメントOneが運用する、企業価値成長小型株ファンド(愛称:眼力)についてご紹介いたします。

企業価値成長小型株ファンド(愛称:眼力)とは

企業価値成長小型株ファンド(以下、眼力)はアセットマネジメントOneが運用するアクティブファンドです。厳選ジャパンでもファンドマネージャーを努める関口智信氏中心の運用チーム。

  • ファミリーファンド方式で運用
  • 小型株市場の中から、利益成長による将来のROE水準やその改善に着目し、企業価値の成長が見込める銘柄を選定することにより、中長期的な値上がり益の獲得を目指す

眼力は伸び悩む日本株式市場のなかでも、成長の見込める小型株に絞って投資を行っています。小型株はその銘柄数の多さから、1銘柄あたりのアナリストは少ない傾向にあり、魅力的な小型株銘柄が発掘されにくい可能性があります。いかに成長銘柄を選定できるかが、投資におけるキーとなります。

銘柄選定にあたっては、以下の3つの「眼力」を用います。

鳥の目

経済や産業、社会、テクノロジー、株式市場の“今”の姿を把握

虫の目

企業の財務諸表(ファンダメンタルズ)分析や年間約500回の企業訪問により個別企業をくまなくリサーチし、企業一社一社を見る

魚の目

経済や産業、社会、テクノロジー、株式市場、個別企業の未来や変化を探り、成長企業や成長分野を探求

設定来好調で、R&I ファンド大賞 2年連続受賞、リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード・ジャパン 2021大賞を受賞しています。

かなりよさそうに見えるファンドですが、以下の注意点があります。

2021年3月31日に運用元のアセットマネジメントOneからプレスリリースがありました。

現在の純資産残高が470億円を超える規模となっており、適正と判断される資産規模で運用を行う観点から、純資産残高が500億円に達した翌営業日をご購入申込受付の最終日とし、以降ご購入の受付を一時停止する、との連絡がありました。

受付停止期間中の積立設定による買付は、既に設定済の場合は継続して購入可能ですが、新規設定の購入は不可とのこと。

まさかのDIAM 新興市場日本株ファンドと同じ人気が出すぎて購入できないパターンとなってしまうのでしょうか。購入を検討している方は、スポット購入・積立購入ともに早めに行いましょう。

スポンサーリンク

基本情報

設定日2016年2月29日
償還日2026年2月20日
購入時手数料最大3.3%(税込) 
※証券会社によって異なる。ネット証券は無料
信託財産留保額0.3%
管理費用
(含む信託報酬)
年率1.595%(税込)
分配金年二回(2月、8月)

基本情報は上記の通りとなります。アクティブファンドだけあって、管理費用は1.595%と高額ですが、DIAM 新興市場日本株ファンドや厳選ジャパンと比べると少し安いです。信託財産留保額も0.3%。分配金は年二回あります。

信託期間が10年で、償還予定日は2026年2月末です。あと5年でどれだけ資産を増やせるか、注目です。

構成銘柄

月次レポート・目論見書を拝見

公式サイト・証券会社の銘柄紹介で閲覧することの出来る、月次レポート・目論見書・運用報告書を元に、どのような運用方針でどんな銘柄に投資しているかを確認します。

月次レポートは、前月末の情報であり、リアルタイムな情報ではありませんが、長期投資と言う目線で考えればクリティカルな問題にはならないと考えます。

組み入れ銘柄総数は59。構成銘柄上位10位については下記の通りです。(2021年3月末時点)

銘柄名比率
スノーピーク3.2%
セルソース2.8%
Sansan2.7%
エスプール2.7%
ウエストホールディングス2.7%
テクマトリックス2.4%
MARUWA2.4%
ローランド2.4%
メドピア2.3%
トプコン2.3%

眼力の月次レポートは組み入れ上位銘柄それぞれについてコメントが記載されており、非常にわかりやすいです。

構成銘柄については、ファンドマネージャーが同じという特徴からどうしても似たような銘柄となってしまうのは残念ですが、面白そうな銘柄もいくつかあります。

個人的に気になる銘柄は下記2銘柄。

テクマトリックス

個人的に好きなIT銘柄ですが、ネットワーク関連・特にサイバーセキュリティに強みをもつ会社。順調に売上を伸ばしています。

ローランド

2014年にMBOによる上場廃止後、2021年12月再上場。電子楽器の専業メーカー。高価格帯の商品が多数で、プロのミュージシャンに愛用者が多いです。音楽教室経由の売上が落ち込む中、ECでの販売に活路を見出しています。特定領域に強みを持つ企業は再上場でも強いと感じます。

業種比率
情報通信業32.9%
サービス業22.4%
その他製品10.0%
電気機器8.2%
化学4.7%
機械3.0%
医薬品3.0%
建設業2.8%
ガラス・土石製品2.5%
精密機器2.4%

業種別で見ると、やはり情報通信業が32%。アセットマネジメントOneはIT銘柄がお好きなようです。

今後の運用方針としては、脱炭素に向けた取り組みやデジタル化などのテクノロジー分野・ヘルスケア関連、社会の構造変化にマッチしたビジネスに着目し、コロナ前を上回る業績を達成する企業に投資をしていくとのことです。

スポンサーリンク

パフォーマンス

基準価額推移

基準価額は2021年4月30日時点で、16,870円(分配金込みで40,527円)。純資産額が470億円弱となっており、新規買い付けを停止する500億円まであと少しとなっています。

過去のパフォーマンス

2021年3月末時点の情報です。

期間騰落率(分配金込み)
1年前から+86.55%
3年前から+124.85%
5年前から+283.05%
設定来+305.27%

設定来を基準にすると+305.27%。前述しましたが、コロナショックを上手く利用してコロナ前よりも大きく資産を増やしました。新規買い付け停止まであと少し。どこまで資産を増やせるでしょうか。

まとめ

月次レポートが見やすいので、非常に参考になります。ちなみに同じ運用会社なのにレポートのフォーマットが違うのは、アセットマネジメントOneが4社が合併して出来た会社で、それぞれの当時のチームのフォーマットを引き継いでいるからだそうです。(どこかの銀行のシステムのようです)

純資産残高が大きくなりすぎて後で解約が増えて運用成績がガタガタにならないように、との判断で新規買い付けを停止するものと思われます。このあたりの運用方針も投資家を大切にしていると考えます。

アセットマネジメントOneが運用しているファンドについては後日別のファンドもご紹介できればと思います。

※あくまでも投資は自己責任でお願いいたします。

タイトルとURLをコピーしました