四季報2021新春号でピックアップしておいた銘柄の一つで、買っておけばよかった…と後悔しているところです。2021年1月7日に2020年11月期の決算を発表し、すでに発表していた上方修正をさらに上回る着地となりました。コロナ禍での都心→郊外へのシフト・公共交通機関の利用→自家用車シフトで自動車の所有が見直されてきている流れもあります。今回は自動車販売 3186 ネクステージをご紹介いたします。
※本当は決算発表直後にご紹介したかったのですが、業界動向のご説明のため年間の新車・中古車の販売台数の数値発表を待ってのご紹介とさせていただきました。
3186 ネクステージとは
会社概要
いつもの通りwikipediaから引用です。
株式会社ネクステージ(英: NEXTAGE Co., Ltd.)は、名古屋市中区に本社を置く新車・中古車販売店(自動車ディーラー)である。
wikipediaより
(中略)
1998年12月に設立。東海地区を中心に、北海道から九州まで全国的に中古車販売店舗を展開。SUV車や軽自動車、セダン・スポーツ車など店舗により扱いを特化した形態をとっているのも特徴である。
2013年7月、マザーズに上場。2014年9月に東証一部へ市場変更、12月に名証一部に上場。
2014年6月、世界初となるAmazonでの中古車販売を開始。
中古車販売の大手企業です。東海発祥で全国店舗網を形成しています。
面白いのは、セダン・スポーツ車など車種別の専門店やスバル車の専門店。ボルボなどの輸入車の正規ディーラーにもなっています。
今期で7期連続最高益となり、今後は車両やカー用品の販売から保険、車検、メンテナンス整備、鈑金修理、買い取りまで一貫したサービスが提供できる環境を整えた店舗出店を行い、顧客に継続的な利用を促進する取り組みを進めるとしています。
自動車販売を取り巻く環境
若者の車離れ
日本の国内自動車販売を取り巻く環境についてはこれまで逆風が続いていました。
趣味趣向が多様化し、若者の車離れの傾向が顕著となる中、日本の自動車産業は売上の大部分を海外への輸出が占めている状況です。
若者が車を買わないから、景気がよくならない…
別に車が無くても、特に興味もないしお金もかかる。
交通の便もいいし、別に困らないな。
年配の方が若者に車を買えといっても、給料が上がらないどころか、税・社会保障費が増え負担が増え続けていく中、かつてのスポーツカーやセダンに手を出すのは難しい状況となっています。地方では交通網が発達していない地域もあり、まだまだ自家用車での通勤需要は多いものの、首都圏では交通網が発達しており、駐車場代も高いことから車を持たない世帯が増え、カーシェアリングの需要が高まり、これからの日常になると思われていました。
コロナ禍で車を所有するの流れ
しかしココでコロナウイルスにより状況が一変しました。テレワークが普及し、都心から郊外の安い土地へのオフィスの移転の動きが出ています。また、公共交通機関での感染リスクを考慮し、自家用車での通勤に切り替える動きが出ています。事実、自動車学校では入校希望者が殺到し、普段であれば閑散期である9月を過ぎても教習の予約が取れない状況が続いているそうです。そうなると自動車の販売が増えそうですが、収入が減り・先行きが不透明なことから新車ではなく割安な中古車が売れ行きを伸ばしています。
下記は、決算発表資料より、中古車の市場動向データです。
米国市場と日本市場の比較を表したものになりますが、実は日本は新車と中古車のシェアを比較すると中古車は32%弱程度となります。米国では、近年のリユース志向の高まりから中古市場が活性化。
日本市場が米国に追随するかどうかはわかりませんが、今後中古市場が伸びる可能性はあります。
また、過去5年の新車・中古車の売上動向です。(日本自動車販売協会連合会より)
2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | |
新車(軽自動車含む) | 4,970,197 | 5,234,095 | 5,271,987 | 5,195,134 | 4,598,527 |
中古車 (バス・貨物車・特殊車両含む) | 3,762,654 | 3,865,941 | 3,837,482 | 3,841,688 | 3,831,028 |
2020年はコロナ影響で、新車の販売台数が大きく落ち込む中、中古車の販売台数は微減にとどまっています。先行きが不透明な中で新車の販売台数が落ち込む中で、とりあえず安価でも車を所有したいというニーズが高まってきているものと思われます。
急速なEV化の流れで逆風も
ただし、以前のクリーンエネルギーETFのご紹介の記事の中でもご紹介いたしましたが、世界的にEV化の流れが急速に進んでいます。2030年までにガソリン車の新規販売を段階的に停止するとの流れが強くなってきています。日本でも大きな影響が及ぶのは必至で、中古車の市場は縮小の流れに向かっていく可能性もあります。長期的に動向が二転三転する可能性があるため、注視が必要です。
業績
株価チャート
それでは早速、株価と業績を見ていきましょう。
コロナショックで一時は値を下げるものの、堅調に推移。2021年1月8日に2度目の上方修正での着地を発表したものの、材料出尽くし感で若干の調整気味。
過去5年業績
【業績】 | 売上高 | 営業利益 | 税前利益 | 利益 | 1株益(円) | 1株配(円) |
連17.11* | 118,971 | 3,474 | 3,304 | 2,262 | 38.3 | 2 |
連18.11 | 163,174 | 4,384 | 4,186 | 2,910 | 42.3 | 4 |
連19.11 | 219,263 | 6,085 | 5,888 | 4,258 | 58.3 | 6 |
連20.11 | 241,146 | 6,825 | 6,525 | 4,740 | 63.6 | 7 |
連21.11予 | 280,000 | 11,000 | 10,700 | 7,600 | 101.5 | 7 |
過去5年の業績です。何と7期連続最高益!今期はコロナウイルス感染拡大により、前期は営業活動自粛を余儀なくされましたが、感染拡大を防ぐための集合研修リモート化による業務効率化・経費削減による営業利益増に加え、自家用車の需要増により売上は堅調に推移し、過去最高益。来期も大幅増収増益を予定。
配当
配当は1円増配。順調に進めば、増配があるかも?
株主優待
株主優待はありません。
まとめ
- 新車は厳しいが中古車は直近回復か?
- 課題はコロナ収束後のビジネスモデル構築か
コロナウイルスは業界によって様々な影響があります。恩恵を受ける企業は、巣篭もり・テレワーク関連もありますが、中古車業界も直近では注目です。ただしEV化の流れについても引き続き注視する必要があります。
あくまでも投資は自己判断でお願いします。