2021年に入ってから、マネー雑誌にて何度も取り上げられている銘柄があります。独立系SIerであるシステム情報です。10期連続で増益中で最高益が続き、財務基盤もしっかりしています。
本来であればIT銘柄は物流・ECと並んで個人的に好きな業種ですから、すぐにでも飛びつきたくなる銘柄ではあるのですが、新卒で独立系SIerに入社し勤務したことにある私としてはいくつか気になる点はあります。
今回は3677 システム情報をご紹介いたします。
3677 システム情報とは
会社概要
1980年1月 東京都港区赤坂2-8-11に資本金500万円にて会社設立
2013年10月 東京証券取引所 JASDAQ に上場
2018年9月に東証二部へ指定替え。
2019年3月に東証一部へ指定替え。
所謂IT企業で、NTTデータ、日本IBM、HP、リコーが主要取引先。
公共・金融・一般的な企業向けの業務システムの開発がメインのようです。
自社独自のソリューションビジネスとして、AI・クラウド・RPAソリューションを育成中。
業績面では11期連続増収・10期連続増益で最高益更新中と絶好調。
プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル (PMP) とCMMIに力を入れており、プロジェクト管理面での強みを持つ会社です。
労働者派遣事業の登録があるので、一般的な独立系IT企業と同様にIT土方と呼ばれる派遣屋をこなしつつ、利益率の高い自社案件比率を高めていくことが課題といえるでしょう。
業績
株価チャート
それでは早速、株価と業績を見ていきましょう。
コロナショックで大きく株価を下げましたが、その後は上昇トレンド。直近はもみ合いの展開が続きます。今期も最高益見込みですが、株価はヨコヨコの状態。
PERは22.94%と既に高いですが、直近高値PERが34.8%ですから、まだまだ株価上昇の余地はあると思われます。
2021年4月23日現在
PER | 22.94 倍 |
PBR | 5.90 倍 |
EPS | 44.5円 |
過去5年業績
売上高 | 営業利益 | 税前利益 | 利益 | 1株益(円) | 1株配(円) | |
連18.9* | 10,115 | 989 | 990 | 703 | 29.7 | 9 |
連19.9 | 12,311 | 1,363 | 1,361 | 917 | 38.8 | 14 |
連20.9 | 12,771 | 1,489 | 1,509 | 1,015 | 43.4 | 16 |
連21.9予 | 13,000 | 1,550 | 1,550 | 1,040 | 44.5 | 17 |
連22.9 (四季報予想) | 13,500 | 1,600 | 1,600 | 1,070 | 45.8 | 17 |
過去5年の業績です。順調に業績を伸ばしています。2021年9月期も過去最高益を予想。
繰り返しになりますが、11期連続増収・10期連続増益で最高益更新中と絶好調。
配当
配当は増配傾向にあります。
【業績】 | 1株配(円) |
連18.9* | 9 |
連19.9 | 14 |
連20.9 | 16 |
連21.9予 | 17 |
連22.9 (四季報予想) | 17 |
現時点で21年9月期の配当は未定ですが、配当性向35%目標を明言しており、業績次第では増配が期待されます。
株主優待
クオカードが貰えるようです。長期保有特典に加えて、旅行券もプレゼント(権利確定日9月末)
優待内容 | 優待獲得株数 |
---|---|
クオカード(500円相当) | 100株以上 |
クオカード(1,000円相当) | 1,000株以上 |
※1年以上3年未満継続保有の場合クオカードの金額相当は2倍、3年以上は4倍
※抽選で50名に10万円相当の旅行券
旅行券を除くと、最低単元の100株を3年以上保有したとして、500円×4=2000円 + 配当 1,600円で計3,600円。総合利回り3.5%となかなかの高配当銘柄。
気になる点
社員の会社への帰属意識が低い?
会社の特徴として以下の二点が挙げられます
- 客先常駐がメイン
- 昇格のためにPMP・CMMIの取得が必須
プロジェクトマネジメントの最高資格であるPMP/CMMIの取得を推奨し、対外的にもプロジェクト管理が強みと謳っていますが、実質的に管理職のみにキャリアパスが限られている点。管理職重視で最前線のエンジニアが大切にされていない印象を持ちます。
終わりの見えない客先常駐というのも会社への帰属意識が失われ、斬新なアイデアを持ち・スキルが高く優秀なエンジニアは退職していく傾向があります。
IT人材不足が叫ばれている中、社員の数にモノを言わせるビジネスで一定の収益・成長はみこめそうですが、自社独自サービスでのストックビジネス、もしくは自社内持ち帰り案件の比率を高めていかないと、今後の発展は厳しいと思われます。
教訓
- 配当性向35%、増配中
- PERは高値平均から比べると安め
私はIT銘柄へ投資する際の判断基準として、実際にSI業界で働いた経験から下記の2点を重視しています。
- 派遣・客先常駐がメインとなっていないか
- 他社に無い独自のサービスがあるか(ストックビジネスならベスト)
- 他社比較したときに圧倒的な強みがあるか
いくら業績が良くても、上記に当てはまらない企業は投資対象外です。自分が働いてみたいと思うか?わくわくする会社か?と言う判断基準です。
特に派遣業メインの会社は、リーマンショックのときなどの不景気の際に大打撃を受けます。
あくまでも投資は自己判断でお願いします。