【凄腕ファンドマネージャー】ニッポン中小型株ファンド【好成績投信の中身を拝見】

人気の投信の中身を覗いてみようシリーズです。

最近はファンドマネージャーの「顔の見える投信」を重点的に調査してます。日本には著名な凄腕ファンドマネージャーが何人かいらっしゃいます。凄腕のファンドマネージャーといえば、おおぶねの奥野氏、厳選ジャパンの岩谷氏・関口氏が挙げられますが、大和住銀投信投資顧問のファンドマネージャー苦瓜達郎氏もそのひとりです。

今回はファンドマネージャー苦瓜達郎氏が運用を行う、ニッポン中小型株ファンドについてご紹介いたします。

ニッポン中小型株ファンド

ニッポン中小型株ファンドはファンドマネージャー苦瓜達郎氏がファンドマネジャーを勤め、三井住友DSアセットマネジメントが運用を行うアクティブファンドです。国内の中小型株に実質的に投資することにより、信託財産の中長期的な成長を目指すファンドとなります。

ファンドマネージャーの苦瓜氏は、他に大和住銀日本小型株ファンドの運用も行っておりこちらも好調ですが、残念ながら大和証券しか取り扱いがありません。

大和住銀投信なのに三井住友DSアセットマネジメント??

最初私はなぜ別の会社の投資顧問がファンドマネージャーをやるのかと思っていたのですが、 三井住友アセットマネジメントと大和住銀投信投資顧問が2019年に合併して三井住友DSアセットマネジメント となったためです。合併後も商品名は変わっていないが故にこのような紛らわしい表記となっているようです。

ニッポン中小型株ファンドのほうに話を戻します。投資コンセプトは下記の通りです。

  • ファミリーファンド方式
  • 日本の中小株式をを主要投資対象(相対的に時価総額が小さい銘柄)
  • 綿密な企業調査に基づくボトムアップ・アプローチにより、利益成長および成長の持続性等を勘案したファンダメンタルズ価値に対して、株価水準が割安と判断する銘柄に投資

また、2021年5月6日時点最新の目論見書には、「企業等のサステナビリティに考慮した運用を行います」との表記があり、ESGを判断材料としているとのことです。2020年11月の目論見書にて追加されたようです。これも時代の流れでしょうか。

運用プロセスとしては下記の通り

  1. 時価総額1,000億円程度までの銘柄を対象に、流動性・財務基準で絞込み
    (ただしこの段階で、ESG投資の観点からふさわしくない銘柄は除外)
  2. 綿密な企業調査に基づくボトムアップ・アプローチ
  3. マーケット・インパクト等に留意しながらポートフォリオ構築

苦瓜氏の投資スタイルは、個別企業の株価が本来の価値と比べて割安かどうかが投資判断の基準とする、バリュー株投資。ウォーレンバフェットの考え方に近いといえます。

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基本情報

設定日2014年2月3日
償還日2029年2月2日
購入時手数料最大3.3%(税込) 
※証券会社によって異なる。ネット証券は無料
信託財産留保額0.3%
管理費用
(含む信託報酬)
年率1.815%(税込)
分配金年1回(6月)

基本情報は上記の通りとなります。アクティブファンドですので、管理費用は1.815%で信託財産留保額も0.3%と高め。

2018年1月には運用資金が増加しすぎたため、ファンドの質を保つ目的で1年間ほど新規の買い付けを停止しています。中小株式が対象で成果を挙げているファンドは買い付け停止のリスクがありますが、そのぶんしっかりと既存の投資家の資産を守るという姿勢には頭が下がります。

構成銘柄

月次レポート・目論見書を拝見

公式サイト・証券会社の銘柄紹介で閲覧することの出来る、月次レポート・目論見書・運用報告書を元に、どのような運用方針でどんな銘柄に投資しているかを確認します。

月次レポートは、前月末の情報であり、リアルタイムな情報ではありませんが、長期投資と言う目線で考えればクリティカルな問題にはならないと考えます。

業種別は下記の通りです。(2021年3月末時点)

業種組入比率
卸売業18.1%
化学12.7%
その他金融業9.8%
ガラス・土石製品8.4%
機械7.3%
建設業6.7%
輸送用機械5.1%
陸運業4.5%
金属製品4.3%
小売業4.0%

組み入れ銘柄総数は172銘柄。構成銘柄上位10位については下記の通りです。(2021年3月末時点)

銘柄名業種比率
ジャックスその他金融業5.0%
日鉄物産卸売業4.8%
ニチアスガラス・土石製品4.2%
リコーリースその他金融業3.7%
ダイキョーニシカワ化学3.4%
ハマキョウレックス陸運業3.0%
黒崎播磨ガラス・土石製品2.7%
TPR機械2.5%
森六ホールディングス化学2.3%
愛三工業輸送用機器2.2%

中小株のバリュー株がメインのため、知ってる人意外は知らないような銘柄が並んでいます。リコーリースは安定の配当ですし、黒崎播磨は正月のニューイヤー駅伝でご存知の方も多いかもしれませんが実は耐火物やファインセラミックスの国内大手。

特に気になったのは下記銘柄です。

ハマキョウレックス

独立系の物流一括受託(3PL)大手。
伊藤忠と量販店向けで合弁。通販向け物流サービス強化。

ニッポン中小型株ファンドの月次レポートでは、構成上位銘柄について一言紹介コメントが掲載されています。また、【担当ファンドマネジャーの見方】というコメントで、今狙っている銘柄が出し惜しみすることなく明言されているので、物色のさんこうにしても良いでしょう。

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パフォーマンス

基準価額推移

公式サイトより

設定来、基準価額は2021年4月30日時点で、15,257円(分配金込みで23,452円)。
前述の通り、2018年には資産額が大きくなりすぎたために1年間販売を停止していますが、株価下落に伴い販売再開。

過去のパフォーマンス

2021年3月末時点の情報です。

期間騰落率(分配金込み)
6ヶ月前から+21.8%
1年前から+33.54%
3年前から-3.34%
設定来+134.52%

設定来からみると、+134%です。コロナショックからの騰落率で言うと、他のアクティブファンドが大きく資産を増やしたのに比べるとやや物足りない印象です。これは、本ファンドが製造業を中心とした割安銘柄を中心に投資していることが一因に挙げられます。

まとめ

ファンドマネージャーによって、投信の運用方針は大きく異なってきます。苦瓜氏の運用方針は割安株中心のバリュー投資。しかも製造業や製造業に関わる業種です。新型コロナウイルスの感染拡大に加えて半導体不足による自動車生産・販売の減少の影響がどこまであるか、注視する必要があります。

※あくまでも投資は自己責任でお願いいたします。

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