過去に四季報ピックアップした銘柄の中でも、まだまだ紹介し切れていない銘柄が多数存在します。2023年3月期第一四半期決算がほぼ出揃いましたので、好決算の銘柄を中心にご紹介していきたいと思います。
今回は、4047 関東電化工業です。化学系の特殊ガスに強みをもち、EVの電池関連銘柄としてもマークしておきたい銘柄です。2022年新春号でピックアップしていましたが、株価がずるずると下がり続けていたためいったん放置していました。
今回は 4047 関東電化工業をご紹介いたします。
4047 関東電化工業 とは
会社概要
関東電化工業株式会社(かんとうでんかこうぎょう、英文社名:Kanto Denka Kogyo Co.,Ltd)は、曹達化学やフッ素化学、有機溶剤の製造などを行う古河グループの化学会社である。JPX日経中小型株指数の構成銘柄の一つ。
wikipedia
沿革
1938年 – 資本金400万円で会社設立
1951年 – 株式を店頭登録
1961年 – 東証2部上場
1963年 – 東証1部上場
2022年 – 東証プライム市場へ移行
事業概要
創業から80年あまりの歴史を誇る同社。フッ素系精密化学品・鉄系精密化学品・基礎化学品といったコア事業を軸に事業を展開。
「フッ素」をメインにリチウムイオン電池材料や半導体・液晶向け材料をはじめとした、ニッチな分野で高シェアの製品を多数提供しています。リチウムイオン電池材料として『六フッ化リン酸リチウム』を、半導体・液晶向け材料として『三フッ化窒素』などのフッ素系特殊ガスなどを製造しています。
最終完成製品ではないため、目に見える形の製品は扱っていませんが、産業の根幹を支える製品を展開しています。主な製品は下記となります。
基礎化学品製品(無機・有機製品)(売上構成比:10%)
イオン交換膜電解法にて食塩からか性ソーダ、塩素、水素を製造しています。これらを利用した基礎化学品製品(無機・有機製品)は、産業用基礎原料としてさまざまな用途に使われます。
無機製品では、か性ソーダ、塩酸は、水処理や各種化学薬品の製造に使われます。次亜塩素酸ソーダは、漂白剤や殺菌剤として使われます。
有機製品では、トリクロールエチレンやパークロールエチレンといった不燃性の塩素系溶剤は、金属部品の洗浄やドライクリーニングに使われます。塩化ビニリデンは、難燃性繊維や食品包装樹脂の原料に使われます。
精密化学品事業(売上構成比:80%)
特殊ガス製品
関東電化は1970年にフッ酸電解技術を国内で初めて確立して以来、半世紀以上に及ぶ経験と実績により、世界トップクラスのフッ素ガス製造能力を保有するまでになりました。
半導体の需要が急速な高まりを見せた90年代半ば以降、半導体用エッチングガスの四フッ化炭素、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン、クリーニングガスの三フッ化窒素、六フッ化エタン、三フッ化塩素、配線用ガスの六フッ化タングステン等、数多くのフッ素系特殊ガスならびにこれらのガスの除害装置を提供しています。
電池材料製品
PCやスマホ、EVの電池に用いられる、リチウムイオン二次電池に必要不可欠な材料の1つが電解質「六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)」の製造・販売を行っています。
その他
その他、複写機・プリンターにて、トナーを感光体に供給するキャリヤーおよびマグネタイトを製造しています。
業績
株価チャート
株価を見ていきましょう。
コロナ影響もあり、2020年10月には700円を切る水準まで売り込まれました。その後EV関連銘柄の物色に影響され1,200円をつける場面もありましたが、2022年に入ってからは米株安・円安の影響もあり今日業績なのに下落を続け、800~900円台で推移しています。
PER7.8、PBR0.91とかなりの割安。PER高値平均12.5%,安値平均8.0%とまだまだ上昇の余地はありそうです。
(2022年8月12日時点)
PER | 7.8倍 |
PBR | 0.91倍 |
EPS | 123.6円 |
過去5年業績
売上高 | 営業利益 | 税前利益 | 利益 | 1株益(円) | 1株配(円) | |
連19.3 | 55,200 | 9,447 | 9,590 | 6,552 | 113.9 | 13 |
連20.3 | 53,679 | 7,729 | 7,840 | 5,021 | 87.3 | 14 |
連21.3 | 51,927 | 5,668 | 5,582 | 3,605 | 62.7 | 14 |
連22.3 | 62,286 | 11,164 | 11,145 | 7,762 | 135.1 | 22 |
連23.3予 | 76,000 | 10,900 | 10,800 | 7,100 | 123.6 | 22 |
過去5年の業績と予想です。コロナ影響で、21年3月期は落ち込みましたが、半導体向け特殊ガスや電池材料が好調に推移したこともあり、22年3月期は過去最高益。23年3月期は通期減益見込みとの弱気見通しですが、2022年8月期に発表した第一四半期決算では、4期ぶりに上期の過去最高益を更新する見通しとなったことで、通期の上方修正・過去最高益更新も期待されます。
配当
1株配(円) | |
連19.3 | 13 |
連20.3 | 14 |
連21.3 | 14 |
連22.3 | 22 |
連23.3予 | 22 |
配当は増配傾向にあります。
株主優待
優待はありません。
まとめ
- 割安銘柄
- 業績好調
業績もよく、明らかに安いにもかかわらず放置されている同社。他の化学系の大手企業が下落すると連れ安となってしまう不運もありますが、実力はある会社。EV関連と言うテーマ性も魅力です。
あくまでも投資は自己判断でお願いします。