人気の投信の中身を覗いてみようシリーズから今回は新興国ファンドです。
ダイヤモンドZai7月号の記事によると今、中国・ベトナム・インド株がアツいとのこと。さらに日経新聞の記事によると、過去20年、アジア株ファンドが好成績との見出しが。
20年以上の運用実績を誇るファンドの中ではアジア株が優位なようです。
今回は、好調なアジアファンドのうちフィデリティ・アジア株・ファンドについてご紹介いたします。
フィデリティ・アジア株・ファンドとは
フィデリティ・アジア株・ファンドはフィデリティ投信株式会社が運用を行うアジア各国に投資を行うアクティブファンドです。
投資コンセプトは下記の通りです。
- 日本を除くアジア諸国の取引所に上場されている株式に投資
- 「個別企業分析により、成長企業を選定し、利益成長性等と比較して妥当と思われる株価水準で投資を行う
- アジア株式の代表的な株価指数であるMSCI ACアジア(除く日本)・インデックス(税引前配当金込/円ベース)をベンチマーク(運用目標)とし、長期的に当該インデックスを上回る運用成果をあげることを目標
- 個別企業分析にあたっては、アジアおよび世界の主要拠点のアナリストによる企業調査結果を活かし、現地のポートフォリオ・マネージャーによる「ボトム・アップ・アプローチ」を重視した運用
成長企業を選定し、利益成長等と比較して妥当と思われる株価水準で投資を行います。
企業活動のグローバル化が進み、企業の成長性などの差が広がるなか、その企業だけの調査では十分ではありません。仕入先や関係会社の調査はもちろんのこと、グローバルネットワークを活かして、世界中の競合他社との比較も行ないます。
基本情報
設定日 | 1998年12月1日 |
償還日 | 無制限 |
購入時手数料 | 最大3.3%(税込) ※証券会社によって異なる。ネット証券は無料 |
信託財産留保額 | なし |
管理費用 (含む信託報酬) | 年率1.903%(税込) |
分配金 | 年1回(11月) |
基本情報は上記の通りとなります。アクティブファンドですので、信託財産留保額はありませんが、管理費用は1.9%超えの非常に高めの設定。
1998年設定の歴史のあるファンドで、基準価額は右肩上がりとなっています。
構成銘柄
業種別上位5位は下記のとおり。意外ですが銀行がトップ。後述しますが半導体関連が時点なのはTSMCの影響が大きいでしょう。(2021年4月末時点)
業種 | 組み入れ比率 |
---|---|
銀行 | 14.9% |
半導体・半導体製造装置 | 12.2% |
保険 | 10.7% |
テクノロジーハードウェアおよび機器 | 9.6% |
メディア・娯楽 | 9.4% |
構成銘柄上位10位については下記の通りです。(2021年4月末時点)
銘柄名 | 国・地域 | 業種 | 比率 |
---|---|---|---|
TSMC | 台湾 | 半導体・半導体製造装置 | 7.8% |
サムスン電子 | 韓国 | テクノロジー・ハードウェアおよび機器 | 7.4% |
AIAグループ | 香港 | 保険 | 7.3% |
テンセント | ケイマン諸島 | メディア・娯楽 | 4.9% |
アリババ | ケイマン諸島 | 小売 | 4.5% |
SKハイニックス | 韓国 | 半導体・半導体製造装置 | 2.9% |
アクシス銀行 | インド | 銀行 | 2.8% |
中国平安銀行 | 中国 | 保険 | 2.8% |
HDFC銀行 | インド | 銀行 | 2.7% |
JDドットコム | ケイマン諸島 | 小売 | 2.6% |
組み入れ銘柄数は71。個別銘柄については改めてご紹介するまでもないでしょう。銀行・保険の金融業が上位に組み込まれているのが、他のファンドと違いがあっておもしろいところ。
パフォーマンス
基準価額推移
設定来、基準価額は2021年6月4日時点で、80,912円(配当金再投資ベース80,912円)
リーマンショック、コロナショックなどがありつつも、世界経済の発展に比例するかのように基準価額が上がり続けています。
ベンチマークとするMSCI ACアジア(除く日本)・インデックス(赤点線)を上回るパフォーマンスを誇ります。
過去のパフォーマンス
2021年5月末時点の情報です。
期間 | 騰落率 |
---|---|
6ヶ月前から | +18.80% |
1年前から | +58.87% |
3年前から | +41.05% |
5年前から | +108.25% |
設定来 | +703.65% |
設定来からみると、+703.65%です。
20年以上前からのロングセラー商品でリーマンショック等を乗り越えてきています。近年のTSMC,サムスンの躍進の恩恵を受けているファンドです。
まとめ
20年以上の運用実績を誇る当ファンド。その期間中、構成銘柄は入れ替わりましたが、基準価額は上昇を続けていきます。あと十年したら上位銘柄がインドやシンガポールなどの国で占めるというようなことがあるかもしれません。
管理費用が高いので、コストを考えるなら米国ETFのXSOEあたりが代替対象となるでしょうか。金融関連銘柄が多く含まれる当ファンドの構成銘柄は他のファンドと違って独特なのでたまに月次レポートを覗いてみたいと思います。
※あくまでも投資は自己責任でお願いいたします。