人気の投信の中身を覗いてみようシリーズです。
前回農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶねをご紹介いたしましたが、ファンドマネージャーの奥野一成氏が運用するおおぶねの日本版のご紹介です。以前奥野氏は「残念ながら日本株には魅力的な企業が少ない」と語ったことがあるそうですが、そんな奥野氏がどんな銘柄を組み入れているのか注目です。
今回は農林中金バリューインベストメンツが助言を行う、農林中金〈パートナーズ〉おおぶねJAPAN(日本選抜)についてご紹介いたします。
農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶねとは
農林中金〈パートナーズ〉おおぶねJAPAN(日本選抜)は農林中金バリューインベストメンツ、ファンドマネージャー奥野一成氏を中心に助言、農林中金全共連アセットマネジメントが運用を行うアクティブファンドです。株価ではなく企業価値に着目し、独自のノウハウにより「持続的に企業価値を増大できる数少ない企業」を見極め、慎重に価値を評価し保有し続ける「長期投資」を行っています。
投資コンセプトは下記の通りです。米国株のおおぶねと長期投資という目線は変わりませんが、にほっかぶの場合は運用ポイントが若干異なります。
- 日本の上場株式を主要投資対象
- 2,000社以上におよぶ上場企業の中から(1)高い産業付加価値と(2)圧倒的な競争優位性と
- いう2つの軸により、持続的に利益を生み出すと考えられる有望企業を選定(80社程度)し、投資を行う
- 企業価値を切り口とした分析活動と建設的な対話(エンゲージメント)を通じて、投資先企業と
- 事業の経済性に関する知見や洞察
米国株のおおぶねと同様に、おおぶねJAPANも長期投資が原則。持続的に利益を生み出すと考えられる有望企業の株式を所有することで、株価の上昇と利益の拡大を狙います。
基本情報
設定日 | 2019年12月20日 |
償還日 | 無制限 |
購入時手数料 | 最大2.2%(税込) ※証券会社によって異なる。ネット証券は無料 |
信託財産留保額 | なし |
管理費用 (含む信託報酬) | 年率0.88%(税込) |
分配金 | 年1回(6月) |
基本情報は上記の通りとなります。アクティブファンドであるにもかかわらず、管理費用は0.88%と1%を切っています。信託財産留保額もなしです。
JAバンクを除いて、積立購入のみの受付となります。
米国株のおおぶねと同様に、自社による企業調査で調査会社への委託費用が発生しないため、手数料を低価格に抑えることができているとのことです。
構成銘柄
組み入れ銘柄総数は81銘柄。構成銘柄上位10位については下記の通りです。(2021年3月末時点)
銘柄名 | 業種 | 比率 |
---|---|---|
TIS | 情報通信業 | 1.3% |
三菱地所 | 不動産業 | 1.3% |
シメックス | 電気機器 | 1.3% |
ブリヂストン | ゴム製品 | 1.3% |
キーエンス | 電気機器 | 1.3% |
セブン&アイHLD | 小売業 | 1.3% |
リクルートHLD | サービス業 | 1.3% |
第一生命 | 保険業 | 1.3% |
パンパシフィックHLD | 小売業 | 1.2% |
リンナイ | 金属製品 | 1.2% |
一つの銘柄の組み入れ比率が多くても1.3%ほどなので、組み入れ上位の銘柄は月ごとにかなりの頻度江入れ替わりますが、組み入れ来の売買回転比率は0.40回/年のため、運用方針通り売らなくてもいい会社しか買っていないということになります。
そんな中で、執筆時点で最新の月次レポート2021年3月号にて触れられていた銘柄はファーストリテイリングとなります…がいくら成長企業でも私は経営者の柳井氏が大嫌いなので2021年1月の月次レポートよりクボタをご紹介いたします。
おおぶねJAPNでは毎月投資対象銘柄1社をピックアップして、事細かに投資理由が説明されています。お金をとってもいいレベルのレポートが無料で閲覧できるため、投資するかどうか関係なく一見の価値はあります。
パフォーマンス
基準価額推移
設定来、コロナショックなどの暴落がありながら基準価額は2021年4月30日時点で、11,706円(分配金込みで11,734円)。
設定されたのは2019年末ですが、公募販売が実質的にスタートしたのが2020年4月ですから、約1.5倍となっています。
過去のパフォーマンス
2021年3月末時点の情報です。
期間 | 騰落率(分配金込み) |
---|---|
6ヶ月前から | +14.1% |
1年前から | +28.6% |
設定来 | +17.3% |
設定来から順調に上昇を続けています。米国株のおおぶねや、他のアクティブファンドと比べると騰落率と言う面では物足りなさはありますが、長期投資をテーマとしているので、売らずに成果が出るのを待ちましょう。コツコツ積立向きでもあります。つみたてNISA対象でないのが残念。ひふみ投信から乗り換えようかな?
まとめ
銘柄選びのポイントとして、「株価が上がるか」よりも「投資した企業がどれだけ利益をあげつづけられるか」という視点はわかっているようでわかっていないポイントだと思います。
ファンドマネージャーの奥野氏の投資哲学については、なるほどと頷かされると同時に、まだまだ勉強不足だなと痛感させられます。
奥野氏の著書も読んでみてさらに理解を進めたいと思います。
※あくまでも投資は自己責任でお願いいたします。