人気の投信の中身を覗いてみようシリーズです。
前回の厳選ジャパンは利益成長が見込める日本の厳選20銘柄でしたが、一部の証券会社でしか取り扱いが無いことがネックでした。同じ運用会社で成績がよさそうなファンドをさがしていたところ、運用コンセプトは違うものの直近成績のよいファンドがありました。
今回はアセットマネジメントOneが運用する、企業価値成長小型株ファンド(愛称:眼力)についてご紹介いたします。
企業価値成長小型株ファンド(愛称:眼力)とは
企業価値成長小型株ファンド(以下、眼力)はアセットマネジメントOneが運用するアクティブファンドです。厳選ジャパンでもファンドマネージャーを努める関口智信氏中心の運用チーム。
- ファミリーファンド方式で運用
- 小型株市場の中から、利益成長による将来のROE水準やその改善に着目し、企業価値の成長が見込める銘柄を選定することにより、中長期的な値上がり益の獲得を目指す
眼力は伸び悩む日本株式市場のなかでも、成長の見込める小型株に絞って投資を行っています。小型株はその銘柄数の多さから、1銘柄あたりのアナリストは少ない傾向にあり、魅力的な小型株銘柄が発掘されにくい可能性があります。いかに成長銘柄を選定できるかが、投資におけるキーとなります。
銘柄選定にあたっては、以下の3つの「眼力」を用います。
設定来好調で、R&I ファンド大賞 2年連続受賞、リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード・ジャパン 2021大賞を受賞しています。
かなりよさそうに見えるファンドですが、以下の注意点があります。
まさかのDIAM 新興市場日本株ファンドと同じ人気が出すぎて購入できないパターンとなってしまうのでしょうか。購入を検討している方は、スポット購入・積立購入ともに早めに行いましょう。
基本情報
設定日 | 2016年2月29日 |
償還日 | 2026年2月20日 |
購入時手数料 | 最大3.3%(税込) ※証券会社によって異なる。ネット証券は無料 |
信託財産留保額 | 0.3% |
管理費用 (含む信託報酬) | 年率1.595%(税込) |
分配金 | 年二回(2月、8月) |
基本情報は上記の通りとなります。アクティブファンドだけあって、管理費用は1.595%と高額ですが、DIAM 新興市場日本株ファンドや厳選ジャパンと比べると少し安いです。信託財産留保額も0.3%。分配金は年二回あります。
信託期間が10年で、償還予定日は2026年2月末です。あと5年でどれだけ資産を増やせるか、注目です。
構成銘柄
組み入れ銘柄総数は59。構成銘柄上位10位については下記の通りです。(2021年3月末時点)
銘柄名 | 比率 |
---|---|
スノーピーク | 3.2% |
セルソース | 2.8% |
Sansan | 2.7% |
エスプール | 2.7% |
ウエストホールディングス | 2.7% |
テクマトリックス | 2.4% |
MARUWA | 2.4% |
ローランド | 2.4% |
メドピア | 2.3% |
トプコン | 2.3% |
眼力の月次レポートは組み入れ上位銘柄それぞれについてコメントが記載されており、非常にわかりやすいです。
構成銘柄については、ファンドマネージャーが同じという特徴からどうしても似たような銘柄となってしまうのは残念ですが、面白そうな銘柄もいくつかあります。
個人的に気になる銘柄は下記2銘柄。
業種 | 比率 |
---|---|
情報通信業 | 32.9% |
サービス業 | 22.4% |
その他製品 | 10.0% |
電気機器 | 8.2% |
化学 | 4.7% |
機械 | 3.0% |
医薬品 | 3.0% |
建設業 | 2.8% |
ガラス・土石製品 | 2.5% |
精密機器 | 2.4% |
業種別で見ると、やはり情報通信業が32%。アセットマネジメントOneはIT銘柄がお好きなようです。
今後の運用方針としては、脱炭素に向けた取り組みやデジタル化などのテクノロジー分野・ヘルスケア関連、社会の構造変化にマッチしたビジネスに着目し、コロナ前を上回る業績を達成する企業に投資をしていくとのことです。
パフォーマンス
基準価額推移
基準価額は2021年4月30日時点で、16,870円(分配金込みで40,527円)。純資産額が470億円弱となっており、新規買い付けを停止する500億円まであと少しとなっています。
過去のパフォーマンス
2021年3月末時点の情報です。
期間 | 騰落率(分配金込み) |
---|---|
1年前から | +86.55% |
3年前から | +124.85% |
5年前から | +283.05% |
設定来 | +305.27% |
設定来を基準にすると+305.27%。前述しましたが、コロナショックを上手く利用してコロナ前よりも大きく資産を増やしました。新規買い付け停止まであと少し。どこまで資産を増やせるでしょうか。
まとめ
月次レポートが見やすいので、非常に参考になります。ちなみに同じ運用会社なのにレポートのフォーマットが違うのは、アセットマネジメントOneが4社が合併して出来た会社で、それぞれの当時のチームのフォーマットを引き継いでいるからだそうです。(どこかの銀行のシステムのようです)
純資産残高が大きくなりすぎて後で解約が増えて運用成績がガタガタにならないように、との判断で新規買い付けを停止するものと思われます。このあたりの運用方針も投資家を大切にしていると考えます。
アセットマネジメントOneが運用しているファンドについては後日別のファンドもご紹介できればと思います。
※あくまでも投資は自己責任でお願いいたします。