【書評】教養としての投資

おおぶねおおぶねJAPANのファンドマネージャーである奥野一成氏による著書。投信を調べていく中で奥野氏の投資哲学について興味がわいたため購入。投資についての考え方、運用方針について述べられています。

概要

投資家の思想

労働者2.0を目指せ

自分の時間と才能を切り売りするのは労働者1.0。自分で主体的に働いて自己投資から長期投資へ。

永守さんに働いてもらう

投資をすることで、投資をした会社を部下にする。日本電産やファーストリテイリングの株を買って(高いですが…)永守さんや柳井氏を部下にして働いてもらう。働いてもらうためには、投資する会社の事業内容や中期経営計画を理解しておく必要がある。

投資と投機の違い

農地の例

これから、農地を購入するとする。

いくらで転売できるか考えるのが、「投機」。その農地でどれくらいの作物がとれて、どれくらいの生産性で、必要な投資はどれくらいで(肥料・農機具・人件費)、最終的に年間でどれくらいの利益を生み出すか考えるのが投資。

ベンジャミン・グレアムの言葉

「株式市場は、短期的には人気投票に過ぎないが、長期的に見れば、『価値』の計測の場として機能する。」短期的には、株価の騰落を繰り返すが、長期的に見ると利益の増え方と株価がリンクする。

売らない株を買えばいい

強靭な構造を持つ会社

構造的に強靭な会社®(※構造的に強靭な会社はNIVICの登録商標)

  • 付加価値の高い産業
  • 高い参入障壁
  • 長期潮流

タバコ会社は一見当てはまってそうに見えますが、付加価値と言う面で見ると、近年タバコを数個とが出来る場所が減っている以上付加価値を維持するのは難しい。

そうはいっても、2020年10月までおおぶねJAPANはJTを保有していました。その後、減配発表で大幅下落…お見事です。

参入障壁 -ディアアンドカンパニーの例-

仮説

日本で農機具といえば、井関農機やクボタですが、アメリカだとディア&カンパニー一択。

ディア&カンパニーの強みは全世界の5,000前後のディーラー網。農機具は田植えや収穫のときくらいしか利用しないので稼働率が低い。稼働率が低いのに、肝心なときに故障して動かなくなっては意味が無いので、すぐに駆けつけてくれるサポート体制が重要。これを井関農機や、クボタがアメリカ進出して一からシェアを崩そうと思っても大変。これこそが参入障壁。

意外な話に

シェアを持っているということは、膨大なデータを持っているということ。ココにAIが加われば、例えばトウモロコシの苗を植えるのに最適な間隔がはじき出せる。農地に関する膨大な情報があるからこそ。どんなに高性能なAIを開発しても、情報がないと意味が無い。これからは膨大な情報を所有しているところが強い。

所感

奥野氏の実践されている長期厳選投資について、非常に深く、独自の投資哲学が語られていました。

私の実際の投資に当てはめてみると、○○の銘柄は利益が上がっていて株価が上がりそうだから買おうとか、PERで見たら割安、配当が沢山もらえるなど、安易な理由がやまほど出てきます。

そうではなくて、一度買ったら売らないくらいの覚悟で、購入しようとしている銘柄が安定して利益を上げ続けることができるか?参入障壁は?付加価値は?考えるようにしたいと思います。

以前から個別銘柄紹介でも述べていますが、個人的に好きなEC系・IT銘柄でチェックするポイントは下記のとおりです。

  • 他社に無い独自のサービスがあるか(ストックビジネスならベスト)
  • 他社比較したときに圧倒的な強みがあるか
  • 業績(営業利益)が伸び続けているか

今後も短期的な株価の動きに一喜一憂せず、事業内容・ビジネスモデルに注目して投資を続けて活きたいと思います。

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