【書評】経営のこころ 会社を伸ばすリーダーシップ

久々に書評。日経新聞の下のほうの広告に載っていたので、興味を持って購入。

概要

もはや説明することは無いでしょう。京セラの創始者でJALを立て直した大経営者、稲盛和夫氏の著書です。なんと御年90歳なんですね。過去に書かれた著書や講演会での発言を集めた総集編ですので、ご存知のかたも多いかもしれません。

成果主義ではなく実力主義

実力主義によって選ばれた人が活躍することで会社が発展する。社外からヘッドハンティングしてきて、創業メンバーより上の地位につけることもある(ただし、丁寧な説明が必要)

厳しさ

部下が間違いを犯したら、厳しくしかる必要がある。ただし、それは適切な信頼関係があって初めて成り立つ。役職が上だからといって、威張ることが厳しさではない。

成果主義の失敗

たとえ目標が達成できなくても必至で頑張った人は評価されないといけない。評価しないと後に誰も頑張らなくなる。

某大手電機メーカーF社の失敗事例を挙げられています。私も以前勤めた会社で、大量の業務をこなしたにもかかわらず、売上目標に達していないといわれて給与・賞与を下げられやる気がなくなりました。

原理原則に従う

何がただしいか?を経営判断基準とする。どれだけ儲かるかではない。

利益追求

上記と矛盾しているかのように思えるが、利益追求は悪いことでもなんでもない。利益がなければ昇給もボーナスも出せない。利益は私物化しない、会社を支えるために、従業員のためにとっておく(内部留保)

天下の資源を使い、天下の人材を使って事業を営み、赤字を出すというのは、罪悪を犯しているようなものだ

松下幸之助

パートナーシップ

従業員は家族。全従業員の幸せを追求することで会社が永続的に発展していくことが出来れば、株主価値を高めることができる。だから、株主より社員のほうが優先。

社員の幸せを思うからこそ、利益を上げなければいけない。間違いを犯したら厳しくしからなければならない。

目標

昨日は出来なかったことが今日は出来るかもしれない。今日出来なかったとしても明日できるかもしれない。

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所感

所謂総集編、名言集なので、一つのストーリーとしては繋がっていない部分もあります。最古の出典は1970年代ですが、今見ても納得できるものも多いです。

稲盛氏の根幹には事業を通じて社会の役に立ちたい、一緒に働く仲間を幸せにしたい、幸せになるためにもっと高い目標にチャレンジしたいという一貫した想いがあります。

稲盛氏は非常に厳しい方で知れられていますが、単なる私利私欲にまみれた利益追求ではなく、確固たる想い・理念には惹かれるかたも多いでしょう。

正しい判断を行うために、仏教や哲学も学ばれているとのこと。経営者は心を高めることが重要との想いからだそうです。

一点気になるのは、従業員との親睦・コミュニケーションをとるために飲み会を多くやるほうがいいということ。この点に関しては、コロナ禍ということもあり古いなぁと思う点はありますが、1on1などの新しいコミュニケーション手法もあるので、時代にあったやり方ですすめればよいのではないかと考えます。

今回はさわりとして総集編から入りましたが、ブックオフなどで過去の著書も当たってみようと思います。

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