USJをV字回復させたことで有名なマーケッターの森岡毅氏の著書。「生まれながらのリーダーなんていない!」という謳い文句に惹かれて購入しました。
個人的にはちょっと苦手なタイプの森岡氏ですが、ざっと読んだ感想です。
概要
リーダーシップは特別な能力ではない
3つの属性
T型:思考力を武器にする人(失敗を恐れて行動が消極的になる)
C型:伝える力や人と繋がる力を武器にする人
L型:人を統率して動かす力を武器にする人
L型の人がリーダーとしては圧倒的に有利だが、T型、C型の人も経験を積むことでリーダーシップを発揮することが出来る。リーダーは素質ではなく経験。
欲をもつこと
どうしても成し遂げたい夢・目標を持つことがリーダシップのデフォルト条件
リーダーシップを積める環境へ
大きな船の一部を作るよりも、小さな船の全工程を作るほうが、物事を俯瞰してみることが出来る。
企業やプロジェクトの規模ではなく、実際に自分の携わる職責のスコープの大きさを重視。
人を活かす
信頼してもらうためにはまず自分が信頼する。自分の理想の押し付けは×。
一緒にやる
マネジメントでいうと、1~10まで細かく管理するマイクロマネジメントか、完全に丸投げする放任主義の0か100の極端なやり方が大半。本人の理解度・スキルに応じて一緒にやる、一緒に考えることが真の「率先垂範」。
上記の考え方は非常に参考になりました。私も0か100の極端なやり方になることが多いので、参考にします。
コロナ対応
責任をもて!リーダーが誰も責任を持とうとしていない!
安易な自粛は、考えることを放棄している。0か100の極端な考え方ではなくて、0~100の間の適切解を!!
所感
冒頭でも述べましたが、森岡氏は空気を読まずに自分が正しいと思ったことを徹底的に実行するタイプの方で、個人的には同様の人間が近くにいたら、距離をとります(笑)
著書内では新型コロナの対応についても述べられています。日本社会では、いわゆる「自粛警察」や感染者に対する誹謗中傷が多く見受けられる「社会的恐怖」が支配している点を述べられていました。森岡氏の考え方としては、楽観視しているわけではないのですが、「社会的恐怖」を解消した上で、自粛を緩和して積極的に経済を回していくスタンスです。この点に関しては意見が分かれるところなので、深くは突っ込みません。
本書のテーマであるリーダーシップに関しては、「欲=夢」を持つことが重要であると述べられており、何としてもやり遂げたい欲に向かって人を巻き込んでいくことで経験を積むことができる。このあたりは、どの自己啓発本でも言われているようなことだと思います。「失敗しても大丈夫、戦国時代の武士のように切腹を迫られることはない」確かにそう思えば楽になります。
ただ、実際のところ失敗を異常なまでに叩く日本の社会の風潮はまだまだですし、コロナに感染した場合の「社会的恐怖」をどのように解消するか具体的には述べられていませんでした。
そんな中でも一番参考になったのは、マネジメント手法である「一緒にやる」という部分です。マイクロマネジメントか丸投げか極端になってしまいがちなところをゴールを共有してともに進めること。また、自分が全部やるのではなくてメンバーが力を発揮できるようにサポートに回ること。これだけでも非常に興味深い内容です。
経営者の目線で読んだ場合には参考になる内容だと感じますが、若手リーダー・中間管理者層の場合はちょっと引いてしまうような内容も多いですので、あくまでも一つの考え方として頭にいれておくのはよいと思います。
とはいうものの、森岡氏のUSJをV字回復させたマーケティング手法・データ分析に関しては興味があるので他の著書も読んでみようと思います。