コロナ禍でテレワークが普及し、クラウド分野の需要が増えました。この分野でリードするのがAmazon のAWSとMicrosoftの Azureで、GoogleのGCPが猛追しています。Microsoftはブラウザ上でリモートデスクトップPCを利用できるサービス「Windows 365」を2021年8月から開始していますし、この分野の可能性は広がっていきそうです。そんなクラウド事業を行っている銘柄に絞ったETFが存在します。
今回は SKYY ファースト・トラスト・クラウド・コンピューティング・ETFについてご紹介いたします。
SKYY とは
SKYY ファースト・トラスト・クラウド・コンピューティング・ETFは、米国のクラウドコンピューティング関連の事業を行っている企業に投資を行うNASDAQに上場している米国籍のETFです。
コロナ禍でテレワークが普及し、クラウドサービスに注目が集まっています。自宅で業務を行うとなると、PCを持ち帰ることによる盗難・セキュリティ事故等のリスクがあります。そうは言っても、モンスタークラスの中央サーバーを自社に設置して、社外からアクセスを行うにも初期費用・保守費用ともにかかりますし、保守人員に高度な技術が要求されます。
そんななかで勢力を伸ばしているのが、AmazonのAWSやMicrosoftのAzureなどのパブリッククラウド。一昔前は、料金体系が不明確でどれだけコストがかかるかわからないため、経営者から敬遠される傾向がありましたが、大手企業で実績が増えてきたこともあり、コロナ禍でテレワークが普及したことにより一気に導入が進んでいます。必要なときに必要なだけのリソースを利用することが出来ること、実機の故障リスクを考慮する必要がないため、保守人員の負担も少なくてすみます。
ただし残念なことに、「コロナ禍でクラウドの活用が進んだ」と答えた日本の法人の割合は調査した28カ国の中で最下位(トレンドマイクロ調べ)。これらのIT投資がコストと見られることが主な要因と思われます。無能な経営者は、生産性を向上させるためにお金を使うことより、目先の人件費・コストを削減することに頭がいっぱいのようです。2021年9月にデジタル庁が発足しましたが、クラウド活用が進み、パソナや電通のような新たな癒着が生まれないことを望みます。
話が逸れましたが、前述のAWSやAzure等、ネットワーク経由で利用できるサービスが増え続けており、今後も成長が期待される分野です。
運営会社 ファースト・トラスト社とは
ファースト・トラストは米国シカゴに本拠を置く運用会社。2020年7月末時点の総運用資産残高は約1,450億米ドル。アクティブ型ETFの運用残高が約285億ドルで世界一位を誇ります(2020年6月末時点)。
アクティブ型ETFの他に、インターネットやIPO等のテーマに着目したETFやファクター型ETFも多数運用しています。
アクティブETF、テーマETFが中心ですので全体的に経費率は高めです。
2020年9月より、日本の大手ネット証券でもファースト・トラスト社のETFの取り扱いが開始されました。
基本情報
配当月 | 4回(3月、6月、9月、12月) |
配当利回り | 0.14% |
経費率 | 0.60% |
基本情報は上記の通りとなります。経費率は0.60%。ハイテク株はグロース株がほとんどで、配当はあまり期待できません。
構成銘柄
構成銘柄上位10銘柄については下記の通りとなっております。(2021年8月時点の情報)
ティッカー | 銘柄名 | 構成比率(%) |
---|---|---|
MSFT | Microsoft Corp | 3.68 |
AMZN | Amazon.com Inc | 3.62 |
ANET | Arista Networks Inc | 3.62 |
BABA | Alibaba Group Holding Ltd ADR | 3.59 |
GOOGL | Alphabet Inc A | 3.51 |
MDB | MongoDB Inc Class A | 3.50 |
VMW | VMware Inc | 3.43 |
ORCL | Oracle Corp | 3.35 |
RXT | Rackspace Technology Inc Ordinary Shares | 3.29 |
KC | Kingsoft Cloud Holdings Ltd ADR | 2.94 |
ほぼほぼ予想通りの銘柄群。MicrosoftはAzure、AmazonはAWS、GoogleはGCPとこの3社のサービスが世界のクラウドサービスの3強。 MicrosoftはいまやOfficeとWindowsの会社ではありません。Azureのクラウドサービスによる売上が全体の売上の3割を超えています。Windows 365というブラウザ上で動作する仮想デスクトップサービスも始めましたし、今後はクラウド事業にシフトしていくのでしょう。
他の銘柄も、OracleやMongoDB、 VMware といったシステム屋さんなら聞いたことのある銘柄が並びます。
パフォーマンス
コロナショック前の2020年初頭から比較すると、綺麗な右肩上がりでコロナ以前よりも株価を伸ばしています。
米長期金利の上昇の影響から、一時ハイテク株中心に売りが優勢となり、2021年5月には大幅に下落しましたが、その後は緩やかな上昇基調に。テーパリングの懸念がありますが、株価は高値圏にあります。
類似ETF(CLOU)との比較
構成銘柄
CLOU
グローバル社の海外上場ETF。経費率は0.68%
ティッカー | 銘柄名 | 構成比率(%) |
---|---|---|
TSM.TW | Taiwan Semiconductor Manufacturing Co Ltd ADR | 14.10 |
NVDA | NVIDIA Corp | 10.00 |
ASML | ASML Holding NV ADR | 5.74 |
QCOM | Qualcomm Inc | 5.08 |
AMD | Advanced Micro Devices Inc | 4.99 |
INTC | Intel Corp | 4.90 |
TXN | Texas Instruments Inc | 4.87 |
AVGO | Broadcom Inc | 4.85 |
MU | Micron Technology Inc | 4.59 |
AMAT | Applied Materials Inc | 4.50 |
チャート
2020年以降、他のETFとパフォーマンスを比較すると、いずれもS&P500指数をアウトパフォーム。それでも CLOUのほうがパフォーマンスとしては優れています。経費率の安いQQQ(0.2%)にも負けているのが悩みどころ。
ちなみに2021年8月末時点での株価はCLOUが$30、 SKYY が$110弱、QQQが$374、VOOが$413。
SKYY :水色
CLOU:橙色
※参考 QQQ(NASDAQ100) : 緑色
※参考 VOO(S&P500) : 赤色
まとめ
クラウド事業は今後も伸び続けていく分野です。パフォーマンスだけ見れば、CLOUでしょうか。株価も安いので手を出しやすいです。
正直SKYYを買うくらいなら、経費率も安く他のハイテク銘柄にも分散できるQQQのほうが良いような気がしますが、クラウド一本にしぼるなら検討の余地はあります。
興味のある方は少額から。
※あくまでも投資は自己責任でお願いいたします。