株式投資で利益を上げるには、株価の値上がり益を狙う方法と、株主優待や配当をもらう方法があります。実はあまり知られていないのが「賃株」サービスです。保有株を証券会社に貸し出すことで、金利がもらえます。今回は「賃株」サービスについてご紹介いたします。
賃株とは
貸株サービスとは、保有株を証券会社に貸出すことで、相応分の金利が受け取れるサービスです。
簡単に言うと、株のレンタル料がもらえると言うことです。
例えば、株価2,000円×100株で金利1.0%の株を1年間保有したまま、賃株サービスを利用すると
2,000円×100×0.01=2,000円(税引き前)
となります。持ってるだけで、金利がもらえる。非常にお得なサービスです。おおむね0.1%ほどに設定されていることが多いですが、週によって金利は変わります。
メリット
いうまでもなく、金利がもらえる点です。特に塩漬けで長期保有せざるを得ない場合、ただ保有しておくより、微々たる額ですが金利がもらえたほうがお得です。
デメリット
株主優待・配当金がもらえない
権利確定日に貸株に出していた場合は、自己保有しているものとみなされず、株主優待・配当金がもらえませんので注意が必要です。ただし、後述の株主優待・配当金自動取得サービスにて回避可能です。
長期保有特典から外れる
株主優待のランクアップ条件として、長期保有(1年以上、3年以上など)が条件の場合、一度賃株に出してしまうと、保有日数がリセットされ、長期保有の対象外となってしまいます。
株主優待・配当金自動取得サービス(楽天証券の場合)
通常、賃株を行うと、株主の権利も貸出し先に移転してしまいますが、楽天証券の「株主優待・配当金自動取得サービス」では、貸株サービスを利用中でも株主優待や配当金を自動で受け取ることができます。3つのコースから選択が可能です。
金利優先
- 株式の自動返却を行わず、貸株金利を継続取得できます。
- 権利確定日は、貸株金利が通常の5倍になります。
- 配当金は、配当金相当額として、預り金に入金されます。
配当金相当額は、税金の処理が面倒くさいです。例として1万円の配当金の場合、特定口座にしておけば2割源泉徴収されて8000円が振り込まれます。
貸株配当金相当額は「配当所得」ではなく「雑所得」の扱いになるので、8000円が振り込まれるまでは一緒なのですが、そのまま申告すると、8000円に対する所得税まで取られてしまう二重課税となります。
株主優待優先
- 株主優待の権利確定日に、自動的に口座へ株式が返却され、株主優待の権利を受け取ることができます。
- 株主優待情報がない場合は、配当金は配当金相当額として預り金に入金されます。
株主優待・予想有配優先
- 株主優待や配当金の権利確定日に、自動的に口座へ株式が返却され、株主優待や配当金を受け取ることができます。
上記のサービスを利用することで、株主優待・配当金もゲットできます。
長期保有特典を継続するには?
長期保有特典を継続するためには、「一部貸し出し」を利用します。
例えば、優待を得るための最低株数が100株の場合、保有株が500株だったとしたら、100株だけ残して400株貸し出しといったやり方で、長期保有特典を維持したまま、金利を得ることが出来ます。
もしも、100株しか保有していないは、「貸し出さない」といった選択肢も視野に入れるべきでしょう。
貸し出した株はどう使われる?
証券会社に貸し出した株っていったい何に使われているのか?なぜ金利を払ってまで証券会社は株を集めるのか?不思議な方もいらっしゃると思います。
実は、証券会社に貸した株はさらに貸し出しをしています。そう信用取引というやつです。機関投資家、一般投資家に又貸しを行って利益を上げています。
金利が高い銘柄は?
金利が10%を超える銘柄もいくつかあります。どうせだったら、金利が高い銘柄を保有しておきたいなあと思うかもしれませんが、注意が必要です。
上記で、貸株は信用取引に使われると述べました。金利が高いということは、それだけ株の需要があるということ。言い換えれば、信用取引として貸し出す需要がある=空売りの需要が多くあるということです。
空売り勢が多く控えているということは、株価が下落する可能性が高い予想している投資家が多いということになります。
金利を理由に株を購入し、後に大暴落とならないように、注意が必要です。
私の運用方法
私の場合は、ほとんどの株を100株ほどしか保有しておりません。そのため、以下の2パターンの運用を行っています。
- 長期保有特典のある銘柄→貸し出しなし
- その他→株主優待・予想有配優先
月単位で20~30円ほどですが、入金があり優待・配当金もしっかりもらえます。
まとめ
メリットもデメリットもある賃株。優待・配当金・金利全部ゲットできるように賢く運用しましょう。